オッサンの天国・天満からほど近くの天五中崎通商店街。その中ほどにある「ニュー ラージャスターン」というスリランカ料理店ですが、いつも気になることがありました。

それは「客が入っていない」という、飲食店では由々しき光景…!
しかし知っているのです、こちらのお店はもともと中崎町のインターナショナルスクール1階にあり、かなりの大バコ店でそれなりのファンがいたことを。
なにしろオーナーシェフのオストさんはスリランカの五つ星ホテルで腕を磨いたのち、ドイツのレストランやノルウェーのイタリアンレストランなどグローバルな料理経験を持つレジェンドなのです。
絶対、料理は相当なクオリティのはず。なのになぜ人が入っていないのか。おそらくこの奇抜な真っ黄色の外観と、外から丸見えな店内で食事するのが恥ずかしい、という日本人特有の奥ゆかしさから入店を躊躇ってしまうのでしょうね。

そんな不遇なニューラージャスターンの扉を思い切って開けてみたら、とんでもない名店だったのでお知らせしようと思いました。
まず驚くのは、キッチンに並ぶ70種を超えるスパイスやハーブ。近くの天満市場で買ってるんですか、と失礼な質問をしましたら、「スリランカから取り寄せたり、実家の庭から採ってきてます」。庭……⁉
そう、オストさんは年に1〜2回、スリランカの実家に帰っては庭に植えているシナモンやクローブなどを採取しているとのこと。ひょっとして実家は大富豪なのかなと想像しました。

最初はランチに伺ったのですが、「シングルカレーセット」(700円)「ワンプレートセット」(900円)など5種ある中の、写真は一番人気「ラージャプレート」(1,200円)。
カレーは、日替わり(この日はポーク)、ダル(豆)、ベジタブルの3種。中央はバスマティライスで、カレーリーフとターメリック、バターで炊いています。サブジやサラダ、パパダン(豆の煎餅)など合計9品が皿にモリモリ。
ポークカレーは、肉カレー専用に調合したカレーパウダーに豚肉を30分以上漬け込んで、炒めタマネギを加え30分弱火で炊いているそう。白っぽいココナッツのサンバルは、カレーリーフやチリパウダー、ココナッツ、タマネギを和えたもの副菜も一つ一つに手が込んでおり、「日本でいうふりかけみたいなもん」だそう。ピリっと甘辛くココナッツのシャキシャキ感もあり、ご飯が進みます。

ランチのもう一つの人気メニュー「ビリヤニ」。現地では手間がかかり過ぎるため特別な日にしか作らないとか。鶏もも1本を十数種のスパイス類に漬け込んで炊き、さらに香辛料を加えて1日寝かし、それをフライパンでソテーして……と、確かに書くのも面倒です(笑)。

ビリヤニは香り付け用のローズウォーターと、ギー(オイル)やバターで炊いてあります。さらにクローブやらコリアンダーやらスパイス類もしっかり利かせてあるので、これだけで食べても美味。でもキーマカレーが付いているので肉に付けたりご飯にかけたりして楽しみましょう。
ニュー ラージャスターンの真骨頂は夜にあった!

ランチにだけ訪れる人は、ニューラージャスターンの底力をまだまだ知らないと思います。凄いのがディナーメニュー(昼から頼めますが)。カレーはもちろん、タンドリーチキン、生春巻き、各種ビリヤニ、ロティ……と、スリランカ料理からスリランカ関係ない料理まで60種ほど揃っています。スリランカのビールやアラック(ココナッツ焼酎)などお酒も豊富。この店、飲みに使った方が良さそうです。
「この店の全メニュー制覇したろー」と、知人と2週連続で行って食いまくった写真がコチラ。青唐辛子が入ったスリランカMIXオムレツ、スパイシークリスピーチキン、シーフード炒め、スペシャルビリヤニ。




次に行った時は、カツレツ、タンドリーチキン、スパニッシュオムレツ、〆にはラージャプレート(笑)。どんだけ食うねん。実はこのほかにもサラダやら野菜ソテーやら頼みましたが、食うのに夢中で撮り忘れました。





オストさんは今は夫婦で厨房に立っています。狭小キッチンでせっせと作っては運ぶ2人を見ていると、こんな寒い日本でさぞかし大変だろう…と涙ぐましくなります。しかし「大阪寒くないよ!むしろ夏がスリランカより暑い」と笑っていたので「大阪の暑さってスゲエ…」とおののきました。
●ニュー ラージャスターン
大阪府大阪市北区黒崎町8-7
06-7165-9655