京都の閉店した「喫茶セブン」の空間をそのままに新生した「喫茶マドラグ」。東京神楽坂にも期間限定オープンしたので知っている人も多いはず。この度、京都の意識高めの百貨店「藤井大丸」にも支店を出しました。あの「コロナ」の玉子サンドに加え、「グリルアローン」の巨大オムライスも復刻。亡き名店シリーズでうまい商売やってんなーと思っていたら、実は全然あざとい店じゃありませんでした。
お子様ランチがブレイク中の「喫茶マドラグ」
2020年にオープンした「喫茶マドラグ 藤井大丸店」の人気メニューと言えばこのお子様ランチ。多い月で1500ぐらいオーダーがあるそうです。あとクリームソーダも異常な人気で、ギャルがばしばし写真撮ってインスタに上げまくっています。それを「ケッ」と横目で見ながら、頼むべきはオムライス。これ、京都で惜しまれて閉店した「グリルアローン」の巨大オムライスを復刻させたメニューなんです。
アローンのオムライス、とにかくデカかった。580円で洗面器ぐらいのサイズ、直径20cm。店主は「フライパン振りすぎてしょっちゅう疲労骨折してる」というまことしやかな噂も囁かれていました。しかし2016年、腕も腰も首まで痛めてしまい、あえなく閉店…。
山崎さん、なぜアローンのオムライスを復刻させたのか
マドラグのオーナー・山崎三四郎裕崇さん(本名)はもともと京都で数店舗展開するカフェ『さらさ』のマネージャーを努めておりました。昔から喫茶店が好きで、失われゆく名店を次の世代に残そうと、立派な使命感を持って店舗を展開しています。
と思ったら、話してみると山崎さん、全然そんな真面目な人じゃありませんでした。
猫:そもそも『さらさ』を辞めてマドラグをオープンした経緯は?
山:僕『さらさ』クビになったんですよ!年商3億目指して無茶ばっかやってたら部下にクーデター起こされて。辞める時「鬼軍曹、さらさ去る」とかホームページに書かれてた(笑)。
猫:「コロナ」の玉子サンド、よくあの頑固なマスターが直々に教えてくれましたね。あの人、玉子サンド頼むと「また玉子サンドや。玉子サンドばっかりや」とか悪態ついてましたよね。作る手つきも危うかったし。
山:マスターから直々に頼まれたんです。すぐ近くの「フランソア喫茶室」でバイトしてた時によく通ってたんで。あの玉子サンド、日によってめっちゃくちゃだった。パンには基本デミグラス塗ってるんですがある時妙に甘いから「何塗ったの」て聞いたら「オイスターソースや!」とか。だいたい卵の殻入ってたし。
猫:思い出した…!玉子の味も濃い日と薄い日がありました。
山:本当ぐだぐだなんですあの人。マドラグでも最初めっちゃくちゃに作っていましたが、やっぱり安定が一番だと気付き、今は品質は一定しています。コロナみたいにパンの耳落とす時玉子まで一緒に切ってロスしたりしません。
猫:「アローン」のオムライスを復刻させたのはなぜ?
山:僕、アローンの裏に住んでたんですよ。それだけじゃないんですが、百貨店に頼まれたので催事で出して、それを改変してマドラグのメニューに入れました。
猫:これも大ブレイクしてるんでしょ?
山:それが目論んだほど出なくて。お子様ランチばっかり出ます。最近ウチはお子様ランチ屋だと思われてますね。オムライスもっと火付かないかな〜。
猫:なんか山崎さん、やってることとかHPとか見ると、すごい神経質でストイックで話しづらい人なのかと思いました。
山:よく言われるんですよ〜。テレビとかで「喫茶店の遺志を継ぎ、重い使命感を持って次の文化の担い手に…」みたいに紹介されると、スタッフも「こんなんちゃうよなあ!」て。本当はのうのうと仕事したい。だいたいいつも、仕事さっさと終わらせてブックオフで立ち読みしてラーメン食って帰って寝たいって、それしか考えてない。
猫:全然イメージと違いすぎる…。でもマドラグ、神楽坂とか須磨店とかも進出して、ブイブイ言わせてるのかと。
山:本当はやりたくなかったんですよね〜。実は神戸の某百貨店の社食もウチでやってるんですが、それも催事で行った時に「社食まずい」って言い続けてたら、担当者が「ちょうど閉めるから、お前らやって」って。後悔しながら絶賛稼働中です。
まあ山崎さん、ざっくばらんにもほどがあるというほど洗いざらい話してくださいました。取材中笑いすぎて腹痛かった。しかしですねえ、山崎さん、神楽坂と須磨店と社食を出した裏には、ある約束があったんです。
2016年に急死した奥様の願いだった
山崎さんの奥様は、2016年に突然の病気により他界。その奥様と「マドラグが流行ったら東京にも出したい」「神戸にも出したい」「文化的な施設の中に出店したい」と夢を描いていたそう。須磨店は図書館と同じフロアにあり、それで約束を果たしたことになります。
なんだよ…いい加減にやってるように見えて根は真摯な人じゃないですか。じゃなきゃこんなにマドラグも流行らないですよね。
あと山崎さん、「京都喫茶文化遺産」ってプロジェクトを立ち上げて、失われゆく喫茶店を引き継いで復活・持続させる活動にも取り組んでいるそうです。やっぱり芯の部分はちゃんとしてるー!
その活動が初めてカタチになった店が6月末、京都四条大宮に誕生するのだそう。もともと「珈琲陣」といういい感じの喫茶店で(いろんなモーニングがあった)、新生は自家製切り出しハムのサンドイッチをウリにした店だそう。
「これも取材しに来てください!」とアピールされたので、また記事で紹介します。ハムサンド食ってみたい。
●喫茶マドラグ 藤井大丸店
京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町605 藤井大丸 5F
075-744-6624
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